角館イタヤ工芸

秋田県角館市で200年ほど前から製作されているイタヤカエデを材料としたイタヤ細工。もともとは、農具としての箕(み)や山や野の幸を採取したものを入れる袋などの農家の道具がメインで作られていましたが、戦後プラスチック製品が出回るようになってから、イタヤ馬、キツネ、籠などの民芸品が制作の中心になっています。
この度、角館市でイタヤ細工を制作されている「角館イタヤ工芸」(佐藤定雄さん智香さんご夫妻と智香さんの姪でいらっしゃる本庄あずささんの3人で営まれている工房)の商品をお取り扱いさせていただくことになりました。
  イタヤ細工のかごも年月を経るとこのように飴色に。

「角館イタヤ工芸」のご主人、佐藤定雄さんは、イタヤ細工に携わって65年の経歴(10代から親の手仕事を見習いながら制作を始めたそうです)。定雄さんのおじい様から数えて3代目だそうです。「作品を作るのには、両手の他に口と足の指と一度に4カ所も身体を使うんだよ。」とおっしゃる定雄さん。穏やかなお人柄で、メガネの奥に柔和な笑顔をたたえながら、私の質問に答えてくれました。その功績を讃えて多くの賞をもらっていらっしゃいます。この道一筋で働いてきた功績をたたえる数々の賞状が居間に飾られていました。
 

奥様の智香さんは、角館の少し北になる上桧木内のご出身。幼少期から農閑期に藁で草鞋を器用に作るお父様の姿を見ながら育ったそうです。智香さんは、とにかく明るくて楽しい方。秋田の女性は、芯が強く朗らかで、なおかつ色白で綺麗で・・・秋田の男性は恵まれているように思いますが、そんな秋田の女性の代表のような方です。
智香さんは、プラスチック製品が出回るようになった頃から衰退してきたイタヤ細工の伝統を絶やさないために、山葡萄や胡桃の樹皮細工を始めたり、また工芸研究者の協力を得ながらイタヤの白木に色染めをしたりして、工房の存続を守ってきた逞しい方でもあります。
今でも、数人の女性を率いながら、秋田の山奥深い玉川周辺に工芸用の木や樹皮を採りに行くと言う智香さん。秋田産の自然の恵みを材料に工芸品を製作することに本物を追求する職人魂が感じられます。

⇒智香さんが集めてきた秋田産の工芸用の樹皮 

智香さんの姪の本庄あずささん。お住まいは智香さんの出身地上桧木内です。もともと家の中でものを作ることが好きだったあずささんが、佐藤さんご夫妻のもとでイタヤ細工の製作を始めて14年。今では、佐藤さんご夫妻と一緒に、ヒゴ作りもできるようになったそうです。


定雄さんと智香さんがヒゴ作りをするところを見せて下さいました。ヒゴ作りと言うのは、イタヤカエデの若木(樹齢20年から30年)を縦に鉈で割り、さらに細く割り、年輪に添って何度も剥いで、薄い板状にした後に面取りをする、大変手間のかかる作業です。重い木づちで、板を割り、長い木を口も足の指も使って剥いでいく作業は、圧巻でした。
 

 
⇒イタヤカエデの若木の丸太木材と、カッチャーナイフと言われる面取りに使われるナイフ。薄い板をそぎます。

当ショップで、伝統のある角館イタヤ工芸のイタヤ細工工芸品、山葡萄・胡桃の樹皮細工品を、お取り扱いさせていただけることになり、大変嬉しく思っております。秋田の山の清らかさがそのままに感じられる工芸品をお届けしていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。


山葡萄の角かごに小さなサンドイッチを入れました。

山葡萄の角かごに焼き菓子を入れました。紙製の丸いレースを角かごに敷いています。山葡萄の落ち着いた茶色に白いレースが合います。

イタヤ楓の丸平かごにマドレーヌをのせました。かごの柔らかい白さが手作りマドレーヌを引き立てます。

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